何か作る人のための道具は、ガチな UX が要求される

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「作る人のための道具を作る」というのが、最近の自分の主題なのですが、これをやっていて気づいたのが、何か作る人のための道具というのは、わりとガチな UX が要求される世界なんですよね。

なぜかというと、何かを作っている人たちというのは、道具の選定が真剣だからです。

毎日のように使うものだし、思考や手の動きに直接食い込んでくる種類のものなので、ちょっとした挙動の違いが、ものを作るリズムにそのまま影響してきます。 なので、フィードバックも細かい。何を入れて何を入れないか、画面のどこに何が出るか、キーボードのどのキーで何が起きるか、 そういう一つ一つに、はっきりこうあって欲しいという思いがあります。

誤魔化しが効かないんですよね。「とりあえずこんなもんで」みたいなレベルでは、採用されません。

Kosshi を出してから、何人かの方からフィードバックをもらってきたのですが、 このフィードバックがすごくて、ありがたいと同時にちょっと戦慄を覚えるレベルのものもありました。

「普通ここの挙動がこうなるはずなのに、Kosshiではそうならない」「iPadのこういう使い方をした時に表示がおかしくなる」のような、 開発者自身も、これは本当にその通りだと、唸ってしまうようなフィードバックをいくつももらいました。

それだけ本気で使おうとしているということがわかって、これはもう真剣勝負なんだな、と感じます。

それに応えようとすると、ちょっとした UI の表層を整えるだけでは済まなくて、 データ構造から見直さないといけなかったり、応答性能を底上げする必要があったり、わりとガチなエンジニアリングが要求されます。

以前書いたとおり、Kosshi の中身はそれなりにコンピューターサイエンスの塊みたいになっていますが、 これは別に趣味でそうしているわけではなくて、「何か作る人のための道具」として要求される水準を出そうとすると、結局そこまでやらないと届かない、という事情なんですね。

逆に言うと、これは差別化ができる領域でもあります。

「誰でもすぐ思いついて、誰でもすぐ作れるもの」は、もう世の中に十分過ぎるほどあって、 すぐ作れるものは、だいたい誰かが先にやっていて、もう一個増えても気づかれないんですよね。

それに対して、ガチな UX が要求される領域というのは、技術的なハードルが高いぶん、人もそんなに参入してきません。 色々試してきましたが、長年プログラミングをやってきた自分にとっては、ようやく自分に合ったフィールドを見つけられた気がしています。

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